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2015/3/31

インドネシア 東ランプンにおけるリンパ系フィラリア症の薬剤集団投薬の視察体験記

レポーターProfile
アプリリア ムスリマ イストゥアティ
エーザイインドネシア

 リンパ系フィラリア症(LF)の制圧に向けたエーザイのグローバルな支援活動の一環として、エーザイのインドネシア子会社PT Eisai Indonesia(以下、エーザイインドネシア)は、世界保健機関(WHO)、RTIインターナショナル(アメリカ合衆国の非軍事の海外援助を行う政府組織であるUSAIDが資金提供する非営利組織)とそのパートナー集団であるエンビジョン、インドネシア保健省のリンパ系フィラリア症対策担当組織などと密接に協力をしています。
 2014年7月、エーザイは、インドネシア保健省より、エーザイがインドのバイザッグ工場で製造するLF治療薬ジエチルカルバマジン(DEC)錠の供給要請を、WHOを通じて正式に受領しました。それを受けてエーザイは、2014年12月に予定されていた薬剤集団投薬(MDA)で使用するためのDEC錠 2千5百万錠を無償でインドネシア保健省に提供しました。エーザイ製のDEC錠はLFが蔓延している各国へ供給されていますが、今回のインドネシアへの供給は、エーザイが子会社をもつ国で使われる最初のケースとなります。私たちエーザイインドネシアの社員は、MDAを実施する村を訪れ、直接視察し、それを確かめることにしました。
 スマトラ島のランプンをはじめとする各蔓延地区におけるMDAは、インドネシア保健省とRTIインターナショナルの支援の下で地方政府によって実施されています。特にRTIインターナショナルは、MDAの実施計画、啓発活動、疾病蔓延の調査、プログラムの担当者へのトレーニング、MDA実施、モニタリング、および評価を担当しています。
 2014年12月17日、エーザイチームは、スマトラ島の東ランプンの二つの村でMDAを視察しました。ここはランプンでMDAが行われている唯一の地区であり、MDA全5回実施計画中、今回は3回目に当たり、はじめてエーザイ製のDEC錠が使用されました。

MDA現場におけるエーザイ製DEC錠のボトル

 村長のシディックさんは、「地方政府やボランティアによる啓発活動や情報提供のおかげで、住民の皆さんにはLFとMDAについて十分理解した上で薬を服用してもらうことができました。地方政府やボランティアの人々は、LF のためのMDAの情報を提供したり、疾病の認知度を上げるためにパンフレットを配布し、コミュニティーセンターでポスターや垂れ幕を掲示してくれました。」と今回のMDAの成功を喜んでいました。
 これら地域の人々はMDAに参加することに非常に熱心でした。幼児から高齢者まで300人以上が参加し、数名の医師が参加住民からの相談や疑問に答えていました。また、エーザイがMDAのための薬剤を無償供給していることを知り、参加住民の方はエーザイ社員をとても歓迎してくださいました。

薬剤の服用方法を村人に示す現地MoHスタッフ

 私たちは、参加した住民がどのようにMDAを受け止めて対応するのかを目の当たりにし、その人々の熱意に感銘を受けました。 住民の方々にMDAの感想などを聞いてみると、参加者の一人であるカマルさんは、「フィラリアに感染したくないし、LFに罹患してもその治療のための費用を払えないので、今回のMDAの実施にとても感謝をしている。プログラムの成功を信じている。」とおっしゃっていました。ブミマス健康センターで働くダマヤンティー医師によると、住民のLF 制圧のためのMDAに対する理解度は非常に高く、以前のMDAの実施時に比べ、今回は大変多くの住民が参加したとのことでした。また、現地保健所のサルトノさんによると、以前のMDAの際は薬剤の不足や供給の遅れといった問題を抱えていたそうです。
 現地保健所代表のハスプリヨーノさんは、RTIインターナショナルやエンビジョン、エーザイインドネシア、および中央政府から支援と協力を得たことを非常にうれしく思い、感謝していました。このような組織を超えた支援と協力によって、今回のMDAの成功につながったとのことでした。
 また、私たちは、主なパートナーからも意見を聞きました。RTIインターナショナルの顧みられない熱帯病(NTD)の技術アドバイザーであるトレスさんは、「エーザイがインドネシアでのMDAプログラムの大きな問題であった薬剤の供給問題を解決し、インドネシアに迅速にDEC錠を届けてくれたので、エーザイインドネシアの社員と一緒に働くことを楽しみにしていた。」とのことでした。彼は、プログラムの成功のためには、薬剤の確保が最も大きな課題であり、インドネシアのすべてのパートナーとの良いチームワークとコミュニケーションが必要不可欠であると強調され、エーザイチームがパートナー達と強固で友好的な関係性を構築し、迅速な対応を可能にしていることに大変感謝しておられました。
 東ランプンでのLF 制圧のためのMDAを視察して、現地の方々やパートナーと一緒に過ごし、現場の様子を肌で感じられたことは、本当に素晴らしい経験でした。 東ランプンの人々は、エーザイの支援に感謝し、LF制圧のための継続的なサポートを期待しています。彼らは、今回のエーザイとすべてのパートナーの貢献に感謝の意を示し、私たちの訪問をとても喜んでくれました。
 エーザイは、インドネシアの国家的LF制圧キャンペーンを支援するためにMoH/WHO/RTIインターナショナルなど様々な関係者と連携した活動を続けていきます。また、インドネシアのすべてのLF蔓延地域にMDAプログラムが拡大し、2020年までにリンパ系フィラリア症がインドネシアで制圧されるように政府を援助します。そして、我々は引き続き地域社会で人々が快適な生活を送るための貢献を拡大していきます。

エーザイからの参加者、ボランティア、MoHスタッフの集合写真
 
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