エーザイのヒューマンヘルスケア（hhc)活動の一環として、私たちは、ヤラダ村でリンパ系フィラリア症(LF) 制圧のための活動に取り組んでいます。 ヤラダ村はインド中東部ビシャカパトナムに位置する、海に面した総人口約3,500人の村で、近くにエーザイのバイザッグ工場があります。バイザッグ工場はLFの治療薬であるジエチルカルバマジン（DEC）を含むさまざまな医薬品を生産しています。
　私たちの活動以前にも、州政府は村人の公衆衛生を改善するために予防対策を試みましたが、不十分な排水設備、村人の公衆衛生への意識の欠如や経済的要因のため苦境に陥りました。その様な状況で、州政府が、ヤラダ村における公衆衛生改善活動を支援するパートナーを探していたときにエーザイが名乗りでました。 私たちのhhc理念に感銘を受けて、州政府は、州の衛生局と共にヤラダ村で感染症の制圧活動を支援するというエーザイの申し出を受け入れました。
　多くの健康問題は、衛生状態が劣悪で、蚊が繁殖しやすい環境に起因するので、村人の健康改善は環境およびインフラの整備から始めることが重要です。そこで、私たちは州政府の害虫駆除活動を支援し、特に、ふたのない排水溝や村の水溜まりに殺虫剤を定期的にもれなく散布しました。また、衛生環境を改善するために排水溝の清掃活動も行いました。バイザッグ工場のスタッフは、週末にも村を訪問して、衛生状況を観察したり、村人が使用するための古い公衆便所の修理も手伝っています。 今後は、蚊の繁殖を防ぐために蚊を寄せ付けない植物を家やふたのない排水溝の近くに植える予定です。

　健康を改善するための次のステップは、病気のリスクや病気を予防する方法について啓発活動を行い、村人たちにわかりやすく教えることです。私たちは蚊が媒介する感染症に対する予防対策を説明したり、村の衛生状況を改善する方法やゴミ処理についても教えています。 また、州政府が行っている啓発キャンペーンにも参加し、村人たちの感染症への理解度をあげることにも力を入れています。子供たちが家族に伝える役割に期待し、特に子供たちへの教育に焦点をあてて活動しています。さらに、LF制圧のための薬剤集団投薬（MDA）キャンペーンに備えて、MDAが行われる前の3日間、夕方に農村地域を訪問し、ドラムを叩く"ダンドラ"により、MDAの実施を知らせ、村人のMDAへの参加を促しました。

　インフラ整備や啓発活動以外にも、MDAプログラムの効果が最大限に発揮されるような活動もしています。私たちは、州保健局が行うLFのMDAプログラムに参加し、１軒１軒、家を訪ねて、すべての村人たちがDEC錠とアルベンダゾール錠の両方を確実に服用しているかを確認しました。 また、炎症部を清潔に保つための消毒液やコットンなどのキットを必要としている患者様に提供しました。

　さらに、州保健局が実施している、バンクロフト糸状虫(LFを引き起こす寄生虫の一種)感染の定点観測調査も手伝いました。 その結果、前回の調査以降にこの地域の新たなLF患者様はいないことを確認しました。
　私たちは2013年10月からこれらの活動を始めました。２年後には、私たちが行っている清掃活動や感染症の教育によって村人の生活の質が向上しているのを実感できることを楽しみにしています。