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世界各地から報告 現地レポート

2014/4/24

バングラデシュでのDEC錠の集団投薬の視察体験記

レポーターProfile
水野 満
グローバルアクセスストラテジー室

 私は、エーザイの医薬品アクセスの活動を担うグローバルアクセスストラテジー室でエーザイ製DEC(ジエチルカルバマジン:リンパ系フィラリア症の駆虫薬二種の薬剤の一つ)錠をWHO(世界保健機関)へ無償提供するためのプロジェクトを担当しています。エーザイがWHOへDEC錠の無償提供を始める前に、現在WHOや蔓延国政府が行っている薬剤の集団投薬の実情を確認・把握する必要がありました。その現場を視察する機会に恵まれ、視察体験して来ましたので報告します。
2012年11月、バングラデシュの首都ダッカから約300Km西(車で約7時間)にあるチャパイナワブカンジ県を訪れました。村人は、下水道が完備されていないなど公衆衛生的に恵まれない環境の中で暮らしており、現地ヘルスアシスタント、JICA(国際協力機構)のボランティアの方々が、1日100件を目安に村の各家庭に駆虫薬を配布し、服薬してもらうように指導していました。しかし、現地では薬剤を服用すること自体が非日常的な行動である人も多く、薬剤の服薬の途中でそれを嫌がり、逃げ出す子供も見受けられました。

WHO/Bangladesh

 こういった人々に疾病の実態・薬剤服用の必要性を理解していただき、毎年、薬剤を正しく、確実に服用していただくことは、我々が考えていたものよりはるかに難しいことがわかりました。しかし、これが成り立たないと我々が薬剤を供給する意味が薄れますので、我々にとっても非常に重要な課題です。
 薬剤集団投薬を実際に視察して得た、このプログラムの大きな課題の一つは、ある県で規定回数の薬剤の投薬が終了し、フィラリアが制圧されていても、物理的な境のない隣の県ではその疾患が蔓延している状態であり、制圧地域に再度疾病が伝播してしまうことです。国が県レベルを指導し、コントロールするのが基本ですが、それだけでなく、蚊の移動が容易にできる国境付近の地域においては国家間の連絡・連携を密にし、地球規模で集団投薬を計画、実施することがさらに必要であると痛感しました。
 今後、エーザイはリンパ系フィラリア症の制圧活動において、駆虫薬のDEC錠を蔓延国に供給するだけでなく、病気と闘う患者様のために何ができるか、錠剤供給以外でもリンパ系フィラリア症の制圧を早めるための方策を考えながら、様々な活動に取り組んでいきます。

WHO/Bangladesh
 
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