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社会問題でもある 顧みられない熱帯病について

ギニア虫感染症

<ギニア虫感染症を発症した患者の様子> CDC

寄生蠕虫(ぜんちゅう)のギニア虫を病原体とし、ギニア虫の幼虫を体内に取り込んだケンミジンコが、飲み水を通して人の体内に入ることで感染します。ギニア虫が人の体内で成虫になると、生息する部位(多くの場合下肢)に水ぶくれができ、成虫が体外に幼虫を生みつける時に焼けつくような痛みを伴います。感染者はギニア虫感染症の撲滅運動により年々減少傾向にあります。

感染原因

病原体

寄生蠕虫のギニア虫

<ギニア虫原虫の幼虫> CDC

中間宿主

ケンミジンコ

 ギニア虫の幼虫を体内に取り込んだケンミジンコが、飲み水を通して人の体内に入ることで発症します。ギニア虫の幼虫は10〜14カ月で約1メートルもの長さの成虫となります。幼虫産出時には、体内から皮下まで移動して、皮膚表面にかゆみや痛みを伴った水ぶくれとして現れます。
 ギニア虫は、河川のように流れがある場所ではなく、水たまり、池、貯水槽、井戸といった「水が淀んでいるところ」で発生します。また、乾燥地帯では雨期に淀み水を飲み水にする際、湿地帯では乾季に水量が下がり、水溜まりができる際に感染しやすくなります。

症状

 通常は、感染後1年ぐらいは特に症状はありません。ギニア虫が人の体内で成虫になると、幼虫産出のために皮下まで移動して、その部位に水ぶくれができます。
 患部を冷たい水に浸すと、ギニア虫は温度差を感知して多数の幼虫産出のために体外へゆっくり出てきますが、この時に焼けつくような痛みが伴います。特に、成虫が関節に局在した場合には、一生障害が残る場合もあります。
 また、ギニア虫が皮膚から出てくる途中でちぎれると、体内に残ったギニア虫の一部が分解され局所的な炎症が起き、強い痛み、腫脹を生じ、蜂巣炎(ほうそうえん)に至ります。また、患部のケアが適切ではない場合に膿瘍や敗血症、破傷風といった二次感染を招くこともあります。

<ギニア虫感染症を発症した患者の様子> CDC

対処法

 診断は皮膚にできた潰瘍に成虫を認める視診によって行います。
 現時点で有効な治療薬はなく、その対処法としては、成虫が人の皮膚表面に現れてきたら、数日間から数週間をかけて少しずつ強制的にひっぱり出して体外に出す以外にありません。

予防方法

 現時点では感染を予防するためのワクチンはなく、また、一度感染しても免疫ができることはありません。
 感染予防にもっとも重要なのは、感染したケンミジンコを体内に取り込まないよう、衛生的で安全な飲料水を確保することです。具体的には、飲料水を布やパイプでろ過する方法、殺虫剤を水に撒くといった方法があります。また、感染している人は飲料水となる水源に入ることは禁止されます。

感染リスクのある地域

 安全な飲料水を確保しにくい、アフリカの都市部から離れた地域は、高い感染リスクがあります。2016年WHOが発表したデータによると、チャド、エチオピア、マリ、南スーダンの4カ国でのみ感染が報告されており、その41%がチャドで発生しています。

推定感染者数

 1986年からのギニア虫感染症の撲滅運動が功を奏して感染者は年々減少し、CDCが発表したデータによると、2015年に報告された全世界の感染者は22例となり、世界的にギニア虫感染症撲滅の達成に近づいています。

推定死亡者数

 死亡する例は少ないのですが、ギニア虫の成虫が体内にいる間の痛みや、二次感染による合併症で動けなくなります。その期間は平均で8.5週ですが、時には一生にわたり障害が残ることもあります。

製薬会社・NGOなどの取り組み事例

 1986年にWHO(世界保健機関)の意思決定機関である、WHA(World Health Assembly:世界保健総会)は、ギニア虫撲滅プログラムを立ち上げました。これには、WHOのほか、カーターセンター(カーター米国元大統領が設立)、UNICEF、CDCをはじめとして、多くのパートナーが参画しました。以来、プログラムは順調に遂行され、2015年には、世界での報告数が1986年の350万人からわずか22人へと激減し、ギニア虫撲滅へ近づいているといえます。

参照情報
WHO- Neglected Tropical Diseases, accessed March 19, 2014,
http://www.who.int/neglected_diseases/mediacentre/factsheet/en/
CDC- Neglected Tropical Diseases, accessed March 19, 2014,
http://www.cdc.gov/globalhealth/ntd/diseases/