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社会問題でもある 顧みられない熱帯病について

HIV/AIDS

ヒト免疫不全ウイルスを病原体とし、血液の接触や性行為など、人の体液との接触により伝播する感染症です。感染後に治療せず放置すると後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症し、結核やリンパ節のガンなどを引き起こして死に至ることもあります。現時点で完治させる治療法はありませんが、3種類以上の抗レトロウイルス薬の使用で症状を抑えることができます。

感染原因

病原体

ウイルスのヒト免疫不全ウイルス(HIV)

<リンパ球と共培養したヒト免疫不全ウイルス > CDC

宿主

 HIVとは「ヒト免疫不全ウイルス(Human immunodeficiency virus)」という意味で、後天性免疫不全症候群(AIDS: acquired immune deficiency syndrome)を引き起こすウイルスです。感染すると一生ウイルスを保有しつづけることになります。HIVは免疫機能を担うCD4(細胞の表面に出現する糖タンパクの一種)陽性T細胞を攻撃します。長年にわたりこれらの細胞が攻撃を受けると、感染や病気に対する免疫不全症、AIDSを発症します。
 HIVは血液や使用済みの注射針、母乳、性行為といった人の体液との接触や、母子感染により感染します。しかし、感染者との抱擁、握手、持ち物や飲食の共有では感染しません。

症状

 HIV感染者の多くは10年近く無症状のままですが、 一部の感染者には感染してから2~4週間後に初期症状が現れることがあります。初期症状(感染後2~4週間後)として、インフルエンザに似た「発熱」、「リンパ腺の腫れ」、「喉の痛み」や「発疹」などがありますが、この時点ですでにCD4陽性T細胞への攻撃は始まっているため、大量のHIVの産生とともにCD4陽性T細胞の数は減少していきます。細胞数の減少とともに免疫機能も衰えるため、体重の減少、発熱、下痢や咳といった症状も現れます。
 治療せずに放置すると、CD4陽性T細胞の数が激減し、最終的には後天性免疫不全症候群(AIDS)に至ります。AIDS発症により、結核、クリプトコックス髄膜炎、リンパ腫やカポジ肉腫といった深刻な病気を招くことになります。人により状況は異なり10年以上無症状の場合もありますが、AIDS発症までの期間は、感染後2~15年程度と言われています。

治療方法

 現時点で、HIVは完治できませんが、ウイルスを薬で低レベルにコントロールすることが可能です。HIVの治療法は1990年代半ばに導入された抗レトロウイルス療法(Antiretroviral therapy: ART)というもので、感染者の命を劇的に伸ばし、また他者への感染も予防できるようになりました。ただし、早期発見・治療が重要です。

診断方法

 もっとも普及している方法は、血液の抗HIV抗体の存在を調べる抗体スクリーニングテスト(免疫学的検査)です。このテストで陽性の場合、次に抗体の種類(HIV-1型かHIV-2型か)を免疫ブロット法などで調べます。
 感染初期の3~6週間は検出に充分な血中抗体濃度に達していないことがあり、一時的に陰性となります。これをウィンドウ期間といいます。この場合、6週間後に再度検査を受けることが薦められます。

 
治療方法

 ART療法は3種類以上の抗レトロウイルス薬を使用します。この療法で体内のウイルスの増殖を抑制し、感染者の免疫機能を維持することができます。

 

予防方法

 まず、性行為による感染予防には、コンドームを代表とする適切な予防効果のある避妊具の使用が不可欠です。避妊具の使用により、感染者からHIVが感染する割合が85%以上減少したという報告もあります。
 HIVの感染リスクが高い環境にいる場合、実際に感染しているか否かに関わらず、抗HIV薬2剤を毎日服用するPrEP(Pre-exposure Prophylaxis)という方法があります。また、抗レトロウイルス療法を受けていれば未感染者への性交による感染は96%減少できるといった報告もあります。

感染リスクのある地域

 サハラ砂漠以南のアフリカがもっとも感染の拡大している地域です。この地域では、2015年に約2500万人がHIV感染者であり、新規のHIV感染者全体の3分の2を占めています。感染者数は、アフリカに次いで、東南アジア、南北アメリカ、ヨーロッパ、西太平洋州、中東の順です。

推定感染者数

 2015年には、世界中で約3670万人がHIVに感染していると推定されています。2015年には、210万人が新たにHIVに感染したと報告されています。

推定死亡者数

 これまでに、約3500万人がHIV/AIDSにより死亡したとされ、2015年には、HIVを原因とする死亡者数は約110万人と推定されています。HIV感染を原因として併発する疾患としては結核が最も多く、HIVによる死亡者数の約三分の一以上を占めています。

製薬会社・NGOなどの取り組み事例

 WHO(世界保健機関)は、HIV/ AIDS感染が世界的に拡大して以来、HIV対策において世界をリードしてきました。UNAIDS(国連共同エイズ計画:Joint United Nations Programme on AIDS)と連携したHIV/エイズの治療やケア、結核の併合感染の対応、さらにUNICEF(国連児童基金:ユニセフ)と共同でHIV/AIDSの母子感染への対応に取り組んでいます。
 WHO加盟国は2011年に「HIV/AIDSに関する国際保健戦略:Global health sector strategy on HIV/AIDS for 2011-2015」を開始しました。この戦略は2015年までに、HIVの予防、診断方法、治療やケアを最適化すること、HIVに関するあらゆる情報を活用すること、持続可能で強固な保健システムを構築すること、および患者の人権擁護に取り組むことを指針としています。

IAVI

 国際エイズワクチン推進構想(IAVI: The International AIDS Vaccine Initiative)は、世界23カ国で、安全・効果的・入手しやすいHIV/AIDS予防ワクチンを使えるようにすることを目的として設立されました。IAVIには、アルフレッド・P・スローン財団、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、ニューヨークコミュニティトラスト、ロックフェラー財団、欧米諸国の政府や世界銀行、また米国メルク社(MSD)、ファイザーといった製薬会社など、様々な団体や企業が協力をしています。1996年から2006年までに、6種の新しいワクチンを開発しています。

参照情報
WHO- HIV/AIDS, accessed February 16, 2017
http://www.who.int/hiv/en/
CDC- HIV/AIDS, accessed February 16, 2017
http://www.cdc.gov/hiv/