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各社が取り組む リンパ系フィラリア症の制圧活動

日本におけるリンパ系フィラリア症の制圧活動の歴史

 日本では平安時代から顧みられない熱帯病の一つ、リンパ系フィラリア症が存在していたことが確認されています。日本において最初に地域全体での包括的なフィラリア症対策(集団での血液検査、駆虫薬の投薬、環境改善)が行われたのは、1958年の愛媛県三崎町における集団検診です。この検診の際に、日本で開発された駆虫薬ジエチルカルバマジン(DEC)*が使われ、1961年以降は、三崎町におけるフィラリア陽性者がいなくなりました。世界で初めて包括的なフィラリア症対策による制圧が成功した事例です。
 日本では、これを皮切りに、1960年代に始まった政府主導による産官民協同制圧活動が実施され、1970年代後半に世界に先駆け、制圧に成功しました。

※日本のジエチルカルバマジン(DEC)

 日本で開発され、2014年3月時点で日本において承認されているDECは唯一、田辺三菱製薬株式会社が製造する「スパトニン®錠」です。1951年2月に承認を取得後、スパトニン®錠として販売を開始し、日本のリンパ系フィラリア症制圧活動の有効な治療薬として使用されました。


エーザイのリンパ系フィラリア症の制圧活動

 エーザイは、リンパ系フィラリア症の制圧活動に取り組んでいます。リンパ系フィラリア症の治療薬は3種類ありますが、その中の「DEC(ジエチルカルバマジン)」は世界的に供給不足状態にあり、制圧に向けて大きな障害となっていました。エーザイはこの問題を解決すべく、2020年の制圧目標の達成に向けて高品質なDECの製造、WHO(世界保健機関)の制圧プログラムを通した無償提供など様々な活動を行っていきます。

2020年の制圧目標までの、エーザイの「リンパ系フィラリア症制圧活動」の流れ

2010年

WHOと顧みられない熱帯病に関する日本初のパートナーシップが成立

 エーザイはWHO(世界保健機関)とリンパ系フィラリア症治療薬の無償提供に関する共同声明文に調印しました。製薬企業がWHOとパートナーシップを組み、顧みられない熱帯病のための薬剤の無償提供を行なうのは日本企業としては初めての事例です。この声明文において、エーザイはDECを自社で開発・製造し、WHOが保証する高品質の錠剤を、2013〜2020年までに22億錠製造し、WHOに無償提供を行うことに合意しました。

調印の様子
(左:WHO事務総長マーガレット・チャン氏、右:内藤晴夫社長)

2012年

ロンドン宣言に参画、DEC22億錠の無償提供に調印

 エーザイは2020年までに10の顧みられない熱帯病の制圧に向けて世界大手製薬会社13社などが共闘していくという過去最大の国際官民パートナーシップである共同声明「ロンドン宣言」 に参画しました。また、先に述べたDEC 22億錠の無償提供に関する最終契約書に調印しました。

「ロンドン宣言」発表の様子
(左端:WHO事務総長マーガレット・チャン氏、中央:ビル&メリンダ・ゲイツ財団ビル・ゲイツ氏、右端:内藤晴夫社長)

2012~2013年

サノフィ社、ビル&メリンダ・ゲイツ財団とともにDECの供給を開始

 「ロンドン宣言」において、エーザイは自社製造のDECが供給できるまでの約2年間、サノフィ社とビル&メリンダ・ゲイツ財団とパートナーシップを組み、サノフィ社の製造するDEC1億2千万錠を無償提供することを発表しました。このDECは60万人以上の蔓延国の人々に投薬されました。
 2012年7月にはDECの初回供給分として約250万錠がWHOに提供され、2013年1月にリンパ系フィラリア症の蔓延国の一つであるマダガスカルで第一回目の集団投薬が実施されました。このほか、マレーシア、ミャンマー、東ティモールにもDECが届けられました。

顧みられない熱帯病、約束から実行へ
―マダガスカルにおけるリンパ系フィラリア症との闘い―
(動画)
エーザイ製DECがNTDs治療薬として世界で初めてWHO事前認定を取得

 エーザイのDECがWHOの規定する品質に適合することを認める事前認定(Prequalification)を取得しました。これは、NTDs の治療薬として、WHOによる事前認定を取得した世界で初めてのケースです。

2013~2020年

インドのバイザッグ工場にてDECを生産しWHOへの無償提供を開始

 エーザイは2013年10月から、インドのバイザッグ工場で製造したDEC錠のWHOへの無償提供を開始しました。2013〜2020年の7年間で合計22億錠のDECを製造し、WHOの制圧プログラムに従って世界のリンパ系フィラリア症蔓延国の人々に届けられます(提供予定国は下図を参照)。
 2013年10月に大洋州のパプアニューギニア、キリバス、ツバル、フィジーの4カ国へDECの出荷を開始して以来、2015年3月末の時点で総計19カ国の方々に向けて2億7千7百万錠のDECを出荷しました。

エーザイ医薬品アクセス向上への挑戦
―リンパ系フィラリア症への取り組み― (動画)

インドのバイザッグ工場

エーザイ製DEC錠
(ジエチルカルバマジン)

2020年までのDEC提供国MAP

リンパ系フィラリア症の3つの治療薬・駆虫薬を知ろう

 エーザイが製造するDECのほかにも、リンパ系フィラリア症の治療薬・駆虫薬は2つあり、WHOは3つのうちの2剤を疾患蔓延状況に応じて使い分ける集団投薬を推奨しています。リンパ系フィラリア症は蚊の媒介により人から人へ感染するため、一定区画のコミュニティ全体で集団投薬を行うことにより感染を防ぐという方法がとられています。

<DEC+アルベンダゾールの集団投薬>

 アルベンダゾールはGSK(グラクソ・スミスクライン)社が製造する駆虫薬です。DECとアルベンダゾールの組み合わせで年1回、4~6年間継続して集団投薬を行います。GSKは、リンパ系フィラリア症の蔓延国に対して、無期限に年間6億錠のアルベンダゾールの無償提供を行っています。


<アルベンダゾール+イベルメクチンの集団投薬>

 河川盲目症リンパ系フィラリア症と共に蔓延している地域においては、DECは河川盲目症患者に特有の副作用を発生させる懸念があるため投薬できません。その代わりに、アルベンダゾールとメクチザン®(米国とカナダでメルク社を運営するMSDが製造するイベルメクチンの製品名)の2剤を年1回、継続して集団投薬します。1998年以来、MSDはアフリカ諸国やイエメンのリンパ系フィラリア症蔓延国に9億人の治療を可能にするメクチザン®を無償提供しました。

 

知っていると一目置かれる!? リンパ系フィラリア症

あの西郷隆盛もリンパ系フィラリア症患者だった!?
 日本ではすでに制圧が成功しているリンパ系フィラリア症ですが、1960年代まで、九州や沖縄を中心に流行していました。かの西郷隆盛もこの病気を患い、下半身の異常な腫れから、乗馬することができなかったと言われています。
 西南戦争で敗戦が確定し、これ以上逃げられないと覚悟した西郷隆盛は介錯(切腹の際首を刎(は)ねることを頼むこと)を依頼して自死しますが、その後、首を無くしても下半身の腫れから西郷隆盛であることが認識され、西南戦争は終わったと言われています。

 

エーザイの「医薬品アクセス活動」紹介パンフレット PDF